この表の使い方。各係数の「標準値」は、可能な限り日本の一次資料(交通工学研究会・国交省・査読論文)に基づきます。確度を
高=一次資料で裏付け/中=実態は確かだが二次資料・点データ/要較正=出典の所在は判明だが当地データで上書き前提、で示します。
本ツールは「これで安全」と断定するものではなく、規制あり/なしを比べる相対的な what-if です。最終判断は警察協議と現地実測で。
①道路の交通容量(車の出庫渋滞に使用)★競合にない強み
| 項目 | 標準値 | 単位 | 確度 | 出典 |
| 基本交通容量(単路・多車線) | 2,200 | pcu/時/車線(理想) | 高 | 交通工学研究会『道路の交通容量』昭和59年版 |
| 基本交通容量(2車線・往復) | 2,500 | pcu/時(往復) | 高 | 同上(JSTE) |
| 飽和交通流率(直進) | 2,000 | 台/青1時間/車線 | 高 | JSTE/国総研 土木技術資料63-3(2021) |
| 飽和交通流率(左折・右折) | 1,800 | 台/青1時間/車線 | 高 | 同上 |
| 実測平均(参考・近年) | 直1,635 | 台/青1時間 | 高 | NILIM 西ら(2021)=基本値は近年やや過大 |
| ツール採用:信号交差点あり | 1,000 | 台/時/車線 | 要較正 | =飽和2,000×青時間割合0.5(標準仮定) |
| ツール採用:信号なし(単路) | 1,500 | 台/時/車線 | 要較正 | =基本容量2,200の補正後目安(実測直進1,635相当) |
⚠ 基本値は補正前。実地は車線幅員・縦断勾配・大型車混入率・左右折で補正係数を乗じる。『道路の交通容量』は令和7年(2025)改訂版あり。道路構造令は台/日の設計基準交通量で車線数を決める別概念(時間流率と混同しない)。
②地方鉄道の輸送力(駅の便制に使用)★競合にない強み
| 項目 | 値 | 確度 | 出典・注意 |
| えちぜん鉄道 三国芦原線 諸元 | 単線・25.2km・23駅・DC600V | 中 | Wikipedia/鉄道DB(インフラは安定) |
| 花火大会時の臨時増発 | 「多数」運行 | 中 | 福井新聞ONLINE(事業者広報基づく)。本数は非公表 |
| 退場の実態(2025三国花火) | 三国港20:39発以降 福井行き 乗車に 2〜3時間待ち(最悪) | 中 | 福井新聞ONLINE。屋外で密集して並ぶ場合あり=単線は増発しても捌けない実証 |
| 1編成定員(座席+立席満員) | 未確立 | 未確立 | 立席7人/㎡式は棄却。車両諸元+臨時ダイヤから要算定 |
| ツール採用:便制(標準仮置き) | 電車300人/12分・バス60/10・シャトル45/8 | 要較正 | 三国の実時刻表・編成・増発で上書き必須 |
💡 重要な含意:鉄道は来場者のごく一部しか運べない。「駅に行けば帰れる」と殺到すると駅前が最悪の雑踏ボトルネックに(2〜3時間待ちが実証)。ここをツールで赤く見せ、誘導・分散で緩和=雑踏事故を防ぐ装置。
③群衆密度の安全基準・歩行(密度上限・雪崩リスクに使用)
| 状態 | 密度 | 確度 | 出典 |
| 快適 | 〜1.5 人/㎡ | 中 | Fruin LOS 等(補助) |
| 混雑(流動低下) | 2.5〜3.5 人/㎡で流動特性が二分 | 高 | 火災学会論文(JSTAGE 48-1) |
| 危険(ツール:危険セル) | ≧4 人/㎡ | 中 | Fruin系の混雑限界の目安 |
| 群衆波動 発生(ツール:雪崩リスク赤) | ≈8 人/㎡(20〜60cmの波) | 高 | Kaitsuji & Hokugo(2012) 社会安全学会誌 |
| 致命(圧死) | 13〜15 人/㎡ | 中 | 明石歩道橋事故(2001) 死者11/推定密度 |
| ツール採用:物理上限 | 10 人/㎡で頭打ち | 要較正 | 波動8と致命13-15の間=人体が潰れる充填限界 |
| 群集流動係数(最大) | ≈1.5 人/m・秒 | 高 | 日本の建築避難安全検証(=流動係数=密度×歩行速度) |
| ツール採用:歩く速さ(混雑) | 3.5〜4 km/h | 要較正 | 自由歩行4.8/密集で自動減速(入力可) |
⚠ 8人/㎡・20-60cm波は単一研究の特性値。Fruin(〜7人/㎡・身体変位3m)は別量=普遍定数として扱わない。明石の負傷者数は247(明石市報告)または183(裁判資料)が正で「248」は不採用。「10人/㎡でパニック」という命題は棄却済み。
④退場の時間分布(退場サージ・出庫渋滞に使用)★競合にない強み
| 項目 | 実例値 | 確度 | 出典 |
| 退場ピーク | 花火終了 直後 | 高 | 長岡花火財団 公式 |
| 一斉帰宅の渋滞(長岡) | 通常7分(4.4km)→ 最大3時間以上 | 高 | 長岡花火財団 公式(最悪値) |
| 定量的時間プロファイル(何分でピーク等) | 未確立 | 未確立 | 点データのみ。警備計画の事後評価が要 |
💡 「終了直後にピーク→数時間かけて解消」は実証済み。ツールの退場サージ(終了後15分は出口引力を強める)+出庫渋滞計算はこの形を再現。
⑤未確立・追加調査が必要(正直な空白)
| 項目 | 状況 | 次の取得先 |
| 交通分担率(電車/車/バス/徒歩 %) | 要較正 数値未抽出 | 道路交通センサス/全国都市交通特性調査/各大会の交通対策資料 |
| 自家用車 平均乗車人数(人/台) | 要較正 出典の所在のみ(≈2.8仮置き) | 道路交通センサス 表9(令和3年度・e-Stat) |
| 仮設トイレ 設置基準(◯人/基) | 未確立 | 内閣府の災害基準(50人/基・男女3:1)は棄却。イベント業界の算定基準を要取得 |
| 花火大会の人出分布(万人) | 未確立 | 各大会発表・観光統計 |
⑥誘導の効き目(出庫渋滞の「実質+◯車線」の根拠)★2026-06-20 追加調査
| 施策 | 効き目(保守値) | 区分 | 出典 |
| 誘導員の手信号・手動交通整理 | +10〜20%(≒実効+0.2〜0.4車線) | 容量増 | FHWA "Managing Travel for Planned Special Events"(positive traffic control=起動ロス削減)。単一の確定%は公的に無く、常時の手動信号制御はFHWA非推奨 |
| 方面別レーン分け(pre-sorting/チャネリゼーション) | +α(≒実効+0.3〜0.5車線) | 容量増 | 交錯(weaving)削減でthroughput向上。配置設計に強く依存(悪い設計は逆に交差点容量−50%例)。手信号と合算でも+0.5〜1.0車線に収める |
| リバーシブル車線(逆走で退場方向に転用) | 退場方向の車線 ×1.7(+73%) | 容量増 | Theodoulou & Wolshon (2004) TRR 1865:48-56。理論2倍でなく終端合流・運転者不慣れのロスで+73%。日本の中央分離帯なし一般道は更に保守側 |
| 方面サイン・事前案内(VMS/誘導標識) | 需要 −5〜10%(容量に足さない) | 需要分散 | FHWA明言=サインは道路容量を1台も増やさず需要を分ける。事故時VMS迂回率実測+5.43%(Emerald誌)・所要短縮は上限でも10〜14% |
| 1車線あたり実効容量(基準) | 信号あり1,000/信号なし1,500 台/時/車線 | — | 飽和交通流率2,000×青時間比0.5(JSTE『平面交差の計画と設計』/国総研)。基本交通容量2,200pcu/時/車線(日本道路協会『道路の交通容量』)。近年実測は直進1,386〜1,782で基本値下回り |
| 会場周辺道路の現況容量 | =昼間12時間交通量 ÷ 混雑度 | ベースライン | 令和3年度 全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス・国交省)。混雑度=交通量÷交通容量=割り算1回で逆算(無料・商用可・出典明記義務) |
⚠ 容量増(手信号・レーン)と需要分散(サイン)は別物=混ぜない。海外データの国内一般道への援用は過大評価になりうるため常に保守側へ。点推定を断定せず幅で語り「渋滞ゼロ」とは言わない。規制区域内の駐車場は規制解除(深夜)まで物理的に出庫不可=会場至近は誘導でも短縮できない構造がある(諏訪湖・大曲で実証。諏訪湖は事前予約制でも約7割が出庫渋滞を経験)。
🚫 棄却した命題(誤った数字を使わないために明記):
- 地方鉄道の立席定員=床面積÷0.14㎡/人≒7人/㎡(0-3で棄却)
- 「10人/㎡以上でパニック・致命的群衆波動」(0-3で棄却)
- 内閣府トイレ基準 50人/基・長期20人/基・男女3:1(イベント用途として0-3で棄却)
- 長岡花火の到着17-18時/帰宅20時開始という時間帯特定(1-2で棄却)
- 明石事故の負傷者「248」(正は247または183)
📊 なぜこれが強みか(データの堀)。競合は数百万円の専用ソフト+コンサル。パトミルは全部タダの公開一次資料(交通工学研究会・国交省・査読論文・主催者公式)で同じ土俵に立つ。特に①道路容量・②地方鉄道の輸送力・④退場の時間分布は今回の調査で厚く裏付けが取れた=他社が持っていない部分。各イベントで実データを足すほどプリセットが賢くなる。
🧭 スタンス(厳守)。このツールは「これで安全」と断定しない。規制なし⇄パトミル規制線の相対比較(what-if)と、どこが詰まるかの可視化が価値。数値は標準+現地較正前提。提示時は「警察協議を早く済ませる材料」「危険箇所の事前共有」として使う。